秋田県の大館地方が発祥の秋田犬は、日本を代表する犬種で国の天然記念物にも指定されています。「あきたけん」と読む人が多いですが、「あきたいぬ」が正式な読み方です。
体高はオス67cm、メス61cm程度で、日本犬のなかでは唯一の大型犬。

雪深い山々で猟犬として活躍していた犬種のため、毛並みは非常に豊かで保温性があります。ふかふかした豊富な被毛の毛色は赤・虎・白・胡麻の4色で、白以外は体の内側が白い「腹白」です。

体はがっしりと筋肉質で、小さな立ち耳にくるりと巻いたしっぽなど、秋田犬には日本犬ならではの特徴がよく表れています。堂々とした立ち姿や引き締まった口もと、いつでも冷静沈着な態度に「サムライ」や「禅」を感じると、海外でも人気が高まっているそうです。

秋田犬は飼い主に忠義を尽くす「ワン・オーナー・ドッグ」で、家族以外の人に対しては警戒する傾向があります。なわばり意識が強く、番犬としても優秀。秋田犬を飼う場合は、しっかりルールを教えることと、飼い主の指示で行動をコントロールできることが大切です。

一方で、家族には寛容で忍耐強いので、子どものいる家庭でも飼うことが可能です。秋田犬は感受性が強く家族の気持ちをよく読み取り、状況に応じた行動を取れる賢さがあります。

秋田犬は飼い主に従順な犬種ですが、猟犬ならではの勇敢で頑固な気質が残っている部分もあり、しつけが難しい犬種といわれることもあります。

子犬のころから飼い主との十分な信頼関係をつくり、きちんと社会化訓練をおこなってください。自分で物事を判断する知性と頑固な面があるので、基本のトレーニングを徹底し、何がダメなことかをしっかり教えましょう。
また、力が強く体が大きな秋田犬は、悪気がなくてもまわりにケガをさせたり恐怖感を与えたりする可能性があります。「マテ」「ヤメロ」などの、制御する言葉は必ず覚えさせましょう。

きちんと信頼関係さえ築けていれば、秋田犬は献身的に飼い主に尽くす犬種なので、特別にしつけが難しいというわけではないはずです。

しつけが不安な場合は、ドッグトレーナーに相談するのもおすすめです。

抜け毛の多い犬種で、換毛期はさらに抜け毛の量が増えます。毎日こまめにブラッシングして抜け毛を取り除いてください。体は丈夫ですが、皮膚が弱い傾向にあります。抜け毛を放置すると蒸れて皮膚病になることがあり、抜け落ちた毛の掃除を怠ると、ハウスダストなどでアレルギーを発症する危険性が。秋田犬を飼うなら、抜け毛の対策が必須となるでしょう。

また、秋田犬は暑さに弱いため、夏は対策が必要です。夏場はエアコンを25～28℃に設定して、様子を見ながら適切な温度を保てるように心がけてください。

秋田犬は、都道府県条例で特定犬種として扱われ、届け出や飼育管理方法に既定のある地域が存在します。
飼い始める時に、お住まいの保健所や愛護センターで確認しましょう。

多くの運動量が必要な秋田犬秋田犬の運動量は多く、毎日2回、1回30分～1時間の散歩が必須です。たまには思い切り走る機会も必要ですが、フレンドリーにほかの犬と遊べるタイプではないので、ドッグランなどに連れて行くときは十分に注意してください。好戦的ではないものの、秋田犬は勇猛で誇り高く、ほかの犬に挑まれたら引き下がることはありません。

秋田犬を飼うなら、できれば飼育スペースは広く、ふだんから軽く運動できる環境が理想です。警戒心が強く、飼い主を守ることを使命と考える秋田犬の性質から、他人が簡単に接触できないようにする配慮も必要ですね。

平均寿命は、11.5歳※1。
屋外で飼われることも多いため、室内飼いが一般的な犬種に比べると短めですが、大型犬の中では平均的と言えます。

飼い主の健康管理で、犬の健康寿命を延ばすことができます。バランスの取れた食事や適度な運動、健康チェックを欠かさないことはどの犬にも共通して言えることですが、秋田犬には特に毎日の散歩でストレスを溜めないことや、飼育環境において暑さから守ること、こまめなブラッシングなどで弱い皮膚を清潔に保つことなどが必要となります。　

※1　アニコム家庭どうぶつ白書2022年

特に注意したい病気は、大型犬に多い「股関節形成不全」です。骨の成長に筋肉の成長が追い付かず、股関節の形が変形してしまう病気です。ヒョコヒョコと歩いたり、足を広げている場合は動物病院で見てもらうことをおすすめします。鎮痛剤やレーザー療法などで痛みを和らげる治療が一般的ですが、症状の改善が見られない場合は手術を行う必要があります。

「鼓腸症」は、胃や腸に空気やガスが溜まりお腹が膨れてしまう病気です。げっぷやおならを頻繁にしたり、お腹が膨れてくるといった症状が出ます。放置すると命にかかわるため、早急に対処する必要があります。早食いや大食い、食後の急な運動が原因となるので、早食いクセがある場合は、小分けにして食事を与えるなどの配慮が必要です。

また秋田犬は「皮膚病」にかかりやすい犬種です。赤みや脱毛、舐める、掻くなどの症状が出ます。放置すると「外耳炎」や「濃皮症」になることもあるので、気を付けましょう。マラセチアなどの真菌が原因の場合は、薬用シャンプーや薬浴で治療をします。

もっと知りたい・備えたい

秋田犬の病気について、もっと知りたくなったら。
グループ会社・アニコム損保の『犬との暮らし大百科』へ移動します。

気を付けたい病気・ケガ ① 股関節脱臼

• 犬の股関節脱臼って？原因や症状、予防法を解説【獣医師監修】

気を付けたい病気・ケガ ② 外耳炎

• 犬の耳がにおう…！ それは外耳炎かも？ 原因や症状、治療法をご紹介！

気を付けたい病気・ケガ ③ 膿皮症

• 犬の膿皮症。初期症状は？　治療法は？【獣医師監修】